‘向井啓和 意見’ カテゴリーのアーカイブ

不動産投資と節税

不動産投資と節税という事で真っ先に思い浮かぶのが法人化ですが、不動産投資が成功して行くと法人でも経費では吸収出来ない利益が出てきてしまうという状態になります。その場合幾つか考え方がある様です。

 

1.法人を複数設立(これはかなりオーソドックス、且つ一般的な方法の様です。)

2.損金計上の可能な役員向け生命保険による方法(以前は全額損金計上出来ていましたが、現在は半金のみの損金計上で若干優位性が低下)

 

3.オペレーティングリースによる方法(全額損金計上は出来ると認識されているが、リース案件の有無と外為が外貨建てである。)

 

 

 

 

1.に関しては小規模法人の受けられるメリットを得るというポイントもあり、例えば保証協会融資の対象が増える等のメリットもあります。

 

 

(保証協会等では一法人に対して保証限度額がありますが、それを複数設立でカバーする事が可能となります。)また、税率も売上や利益が少ない段階では低いのも利用される理由かと思います。

 

 

 

2.に関しては役員退職金的な要素のある生命保険の購入によって行う節税ですが、資金効率があまり良くありません。但し、購入資産が保険であるという事で、その保険を担保にいざとなれば資金調達をする事も可能となります。

 

 

これは、長期間資金がロックされてしまうと苦しい中小企業にとってはメリットとなります。

 

 

また、役員退職金のあてを確保するという他の目的も達成する事が可能となります。

 

 

 

 

3.個人では現在では行われていませんが、法人であれば全額損金計上出来るという事から面白みがあります。現在は主に船舶を利用したオペレーティングリースになります。

 

 

リース終了後に契約上は決められていませんが、ほぼ売却出来る金額が慣習として落ち着いており初年度に出資金の100%を償却出来るのもメリットです。

 

 

ただ、リース期間が比較的長くその間はキャッシュフローが無く2の生保と比べて資金調達面がかなり劣るのがデメリットです。また、外貨建てであり円高に行った場合にリスクとなります。(但し、円安に行けば円ベースでは+となります。)

 

 

 

不動産投資を法人で行っても、いずれは次に考えなければならない事が出て来ます…その際にはご相談を…

 

by 向井啓和

 

 

 

不動産投資のみならず不動産投資をいかに継続安定化させるかという事には色々な事を考えて行かなければならないという事です。それぞれの局面においてプロをご紹介出来ますので。

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不動産ファンドの動向

売り物件が引き続き減少しています。先日JREITにお勤めの先生の講義で指摘がありましたが、不動産の証券化案件が全く市場に出てこないそうです。(ファンドが損切りして来ないという事です。)

 

ではどうしているかと言えば再度身内で回すか、SPCに出資している分を減資して再度資金を投下してファイナンスを得ているそうです。(評価額が減っているので減資して損を消して、そこに対して再度ノンリコースローンを引っ張るという形です。場合によっては2,3年~5年の期間で確定しているそうです。)

 

そうなって来ると日本の不動産を購入しようとしている不動産ファンドが全く買えないのも無理は無いです…

 

10億以下の信託受益権物件はまだしも、ある程度大型の案件での動きが非常に少ないのが現状です。

 

by 向井啓和

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不動産投資のトラブル(大規模修繕)

東京都大田区の一棟売りマンションだった物件

東京都大田区の一棟売りマンションだった物件

 

 

不動産投資の「トラブル」というか「失敗」というか「認識不足」に大規模修繕の見込み違いがあります。物件購入までは熱く突っ走り、購入してから中古物件の修繕ってこんなに掛るのと愕然とされる方もおります。

 

弊社では、大体200、300万程度の修繕か、500万前後の修繕か、1000万~1500万の修繕になるか等の大まかな数字は把握してお勧めする様にしております。また、その修繕が必要となる時期も…

 

今回、依頼を受けたのは以前弊社にも問い合わせがあったけど、他で物件を買われた方から再度メールでの依頼が入り対応しました。

 

物件買った先から修繕費が購入後直ぐに必要になると言われてそれが妥当か否か調べてくれとの内容でした。

 

普通であれば調べませんが他社はどんな売り方をしているかというチェックで見て来ました。写真を載せます。

 

マンションの外付の廊下ですが、クラックが凄いです。コンディションはあまり良く無いですね…

 

by 向井啓和

 

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不動産投資と節税、減価償却費、当期利益、金融機関の融資の関係

弊社5月末が決算日になりまして、現在試算表を作成中です。そんな中、物件購入にあたって本日金融機関とお話をしました。

 

私が以前提示していた仮の試算表は減価償却費を最も多く計上する試算表でしたので金融機関がどう反応するか見ものでしたが、やはり想定していた範囲内の状況でした。

 

 

 

まず、その金融機関の場合は法人の融資にあたり、キャッシュフローの状態を基に企業格付けを取得します。その際に、当期の利益に減価償却費等(借入金の利息等も)を追加して当期のキャッシュフローを出すそうです。

 

更に、格付けを上げる為(その企業に融資をしたいので)には当期利益の積上げである利益剰余金の額もポイントにするとの事です。当期利益を毎期出して利益剰余金が積み上がっている企業への融資が行い易い様です。(弊社はキャッシュフローも税法上の損益も問題ありません。)

 

 

 

次に金融機関の融資を得る際に重要になるのが減価償却をどの様に計上するかです。ポイントは

 

1. 建物本体と付属設備に分ける比率をどうするか(附属設備は定率法で費用計上出来るので早期に費用化し易すく節税に有利)

 

2. 減価償却によってどれだけ利益を圧縮して行くのか、その圧縮した「決算上の利益や損金」で金融機関の融資が通るかどうか

 

 

になります。

 

 

 

 

つまり、節税だけを考えれば、附属設備比率を30%等に上げて、定率法で3年等の高速償却が一見有利な様ですが、その場合には、利益を圧縮しすぎてしまう傾向があります。(キャッシュフローは潤沢になりますので、本来的には金融機関からするとリスクが低いのですが…)

 

 

そうなると、上記でも指摘した様に金融機関の審査において重要な「当期利益の継続性と利益剰余金の積み上げ」がなおざりになります。

 

 

 

また、その金融機関も言及していたのですが物件の評価で建物が古い等の場合にキャッシュフローがマイナスになる場合には「継続的な当期利益」を根拠に審査を通す場合があるそうです。

 

 

つまり、過去5年500万の利益が継続的に出ていたので、本物件のキャッシュフローがマイナス300万だが本企業の余力の範囲内であるという方向性を打ち出せる場合があるという事です。

 

 

簡単に説明しづらい部分ですが、キャッシュフローは重要であるが、当期利益を上げているという事も同様に重要であり、金融機関の融資を受ける際には鍵になるという事です。

 

 

つまり節税は程ほどにしておかなければ銀行の融資に不利に働くという事です。これは個人の場合も同様に当てはまるはずです。

 

by 向井啓和

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節税の為に買われるワンルームマンション

区分のワンルームマンションが売られておりますが、その際に「節税」をうたっているケースがあります。ただ、ワンルームマンションでの節税と言うのは事実上殆ど期待出来ません。

 

一方、数年経っても減らない残債に対して金融機関の評価は惨憺たるものです。例えば1000万の物件であっても100万台でしか物件評価されません。(また、物件数が増えると事業者的な上乗せのリスクを金融機関が想定します。例えサラリーマンであっても…)

 

そんな事で不動産投資を「展開」したいという予定があるのであれば、ワンルームマンションは練習程度にしておいた方が宜しいと思います。

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空室率の上昇(総務省発表)

だいぶ前ですが不動産投資に関係ある総務省発表の住宅・土地統計調査というのが出ましたのでご紹介します。http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2008/10_1.htm

 

 

簡単にまとめると平成20年調査によると空き家率が13.1%と全国を通じて過去最高となったそうです。全くほったらかしにされている物件も、そうでない物件もトータルの数字になりますのでその点はご理解ください。

 

 

また、気になったところとしては千葉県の空家率が19.6%から20.5%と明らかに上昇している状態になっています。全国平均が18.7%や関東大都市圏平均が16.2%に比べてもかなり悪い数字になります。

 

 

千葉県は一都三県の中でも目立って空室率が高いので、物件購入において注意が必要です。駅からの立地、幹線道路へのアクセス、需要と供給のバランスが重要なポイントになります。

 

 

フルローンが出るからと言ってイイ気になって考え浅く買い進んで行くと飛んでもない事になってしまいます。

 

by 向井啓和

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不動産ファンドのエクイティ出資(高木証券処分勧告)

本日の日経新聞の4面に小さめでしたが「高木証券処分勧告」との記事が出ていましたが、前から注目していた話なので取り上げます。

 

(日経新聞http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819591E3E2E2E3968DE3E2E2E4E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2

 

というのはこの高木証券が売っていたのは不動産私募ファンドのエクイティで、その個人に売ったエクイティが元本割れと言うよりはほぼゼロになっているという事から注目しておりました。

 

多くの私募の不動産ファンドは現在エクイティが棄損している訳ですが、それをプロの投資家が出資しているので問題がありませんでしたがこのケースでは比較的投資経験の乏しい方に販売していた様です。

 

これは不動産私募ファンドのスキームが一般的に中短期で出口戦略を考えての運用の為に存在するリスクでして、もし、20年、30年の長期投資で対応していれば全く問題無かった案件かと思います。

 

(不動産私募ファンドの期間は3年~5年で、丁度高い所で設定して安い所で終了せざるを得なかったというのがこの問題の出発点です。)

 

同じ投資物件でもその後このファンドの信託受益権を買った方は潤沢なキャッシュフローを得て全く問題がない等の状況を見ると、投資期間の設定からして3年という無理のあるスキームが問題だったと分かります。

 

by 向井啓和

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固定資産税の審査の申出(地方税法と国家賠償法)

固定資産税の審査の申出期間が順次終了して来ます。固定資産税の評価額(価格)が不当に高いという不服がある場合にはその根拠を示して申出る事が出来ますがそれには期間があります。

 

この「審査の申出」は「当該年度」の固定資産についてのみ申出が出来る事となっており、それが終了するのが納税通知書を受け取ってから60日以内となっております。

 

例えば神奈川県横浜市等の場合は4月初旬に納税通知書を発送しているので審査申出期間はほぼ終了になっております。一方東京都等は最近納税通知書を受取ってますので、もうしばらく時間的な余裕があります。

 

審査の申出はやみくもに申出しても却下されるだけなので準備が必要です。

 

特に最近多いのは事業用資産で家屋(建物)の「用途」や「種類」や「構造」の間違いが原因のケースが多いと思います。

 

また、最近これとは若干異なる経緯で固定資産税の救済がされた画期的なケースがあります。地方税法上の規定とは異なる国家賠償法の規定を利用して最高裁で納税者が勝訴した案件です。

 

恐らく市役所職員の明白なポカがあった為でしょうから、全ての案件に対して該当するとは思えません。

 

 

(詳細はこちら→http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=80271&hanreiKbn=01)
(概略はこちら→http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819695E2E1E2E38B8DE2E1E2E4E0E2E3E29180EAE2E2E2)

 

ただ、国民が国や地方公共団体のミスが原因で起こった損害から救済されるという道を作ったという意味では相当画期的な判決に思えます。税金だけに留まらないと思われます。

 

by 向井啓和

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居抜き店舗への投資

港区新橋の店舗投資

港区新橋の店舗投資

 

 

積極的ではなかったのですが、4月末に店舗への投資をしました。場所は港区の新橋です。

 

 

出資のポイントは

 

 

1. LLP(リミテッドパートナー)のスキームを使っての投資であった

 

 

2. 立地が非常に良かった

 

 

3. 立地の割に家賃が安かった

 

 

4. 料理のレシピを担当する料理研究家の料理を何度か食べていたのでイメージが掴めた

 

 

5. マーケティングが良かった

 

からです。

 

1.のLLPですがアメリカで非常に一般的なスキームですが、有限責任出資組合と日本語で訳すのですが一種の投資組合のスキームです。出資金の額を上限にリスクが抑えられているというのがポイントです。

 

 

また、税務上はパススルー課税となっており2重課税が避けられる様になっており、組合段階では課税されず、構成員課税となります。(LLPの構成員課税は→http://cp.zei.ac/llp/kouseiinn.html)

 

by 向井啓和

 

 

 

投資する際には、「個人」と「個人」の組み合わせや「個人」と「法人」の組み合わせ等も出来て柔軟性があります。

 

その他については後日ご紹介します。

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不動産投資と節税(ダイエー創業者次男の中内氏の脱税容疑の逮捕を受けて…)

ビジネススクールで不動産投資と税金の事を主に勉強しておりますが、不動産投資で下手な節税をすると酷い目にあうというのが良く分かります。(相続税脱税の記事はこちらです。→http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100603-00000031-maip-soci)

 

 

一般に税理士と言えば資格試験に合格しその道のプロと言える訳ですが、ただ、実際は試験に受かったばかりの一人の税理士は「ただ試験に受かっただけの人」と考えた方が良いでしょう。

 

自分の目的が不動産投資と節税であるならば資産税関連に強い事務所でなければなりませんが、不動産投資にも所得税や法人税も関係しますので一人でその全てをしっかりとカバーするのは相当厳しいと思います。

 

不動産投資と節税と言っても本当の意味で適切なアドバイスを出来る事務所は数名のスペシャリストがいて、それを統括するキャリアの長いプロがいる先でないと顧客のニーズに答えられないと思います。

 

不動産投資に関連しうる税法としては「所得税」「法人税」「消費税」「不動産取得税等」「相続税贈与税」「租税特別措置法」「地方税(固定資産税等)」「海外の税法」等が関連し、また、過去に問題となった事案の判例を調べると何が問題で否認されて何がポイントで勝訴したか等の精査が必要となります。

 

税法の体系が複雑なのは、法律、政令、規則、附則、取扱通知(通達)があり法律だけ見ていたのでは実務で重視されている通達等が見過ごされます。一般的には税理士試験では法律が中心であり、実際の判例まで取り扱う事は殆どありません。

 

つまり、試験に受かっても実践に関する事は相当抜け落ちているのです。まるで大学卒業しても英語を話せないのと同じです。

 

ただ、「そういった税理士を選んだあなたが悪い」、「その言いなりになって申告したあなたが悪い」という事で、主な責任は納税者に来ます。後は税理士を相手取って損害賠償請求をする位ですが大変です・・・・

 

by 向井啓和

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