2009 年 5 月 22 日 金曜日
先日火災保険で長期契約で一度に全額支払う場合に受けられる場合の割引を、自動引き落とし方式でも受けられると書きましたが火災保険会社の担当が「間違えていました」と連絡がありました。正しくは、火災保険の長期契約で全額払い(全期前納)の場合のみ長期割引が受けられるそうです。
(普通はあり得ないので何度か確認してそれで間違いないとの事で「自動引き落とし」でも割引になるとブログにアップしました。ただ、残念ながらやはりそうではありませんでした。その理由は下記にご紹介します。これはファイナンスの非常に初歩的なお話です。)
①全期前納の場合と②自動引き落としの場合の比較をしてみれば一目瞭然です。(損保会社の立場での計算をしてみます。)
前提条件として
A 5年の長期契約で考えてみます。
B その間の資金利回りを1%で変動が無いと仮定します。又、全ての資金を複利運用するとします。
C 5年分の火災保険料総額が5万円と仮定します。
D 保険料の払い込みは各期の初日に行われると仮定します。利息に付く源泉税は単純化の為に考慮外とします。
①保険料が全期前納の場合金利が各年に複利で付きますので5年後には5万円×1.01^5(5乗)≒52,500円となります。
②一方各期1万円払いの場合は
1万円×1.01^5(5乗)≒10,510円(1年目の払い込み分が5年間複利運用された額です。)
1万円×1.01^4(4乗)≒10,406円(2年目の払い込み分が4年間複利運用された額です。)
1万円×1.01^3(3乗)≒10,303円(3年目の払い込み分が3年間複利運用された額です。)
1万円×1.01^2(2乗)≒10,210円(4年目の払い込み分が2年間複利運用された額です。)
1万円×1.01^1(1乗)≒10,100円(5年目の払い込み分が1年間複利運用された額です。)
上記を合計してトータル≒51,520円となります。
①-②は約1,000円となり、保険会社は全期前納で受け取るよりも各期1万円受け取る場合には1,000円分実入りが減ってしまいます。また、事務手続き上のコストが通常掛りますのでもっと保険会社としては実入りが減り普通はファイナンスの常識ではあり得ない話なのです。だから、驚いてブログにアップしました。
*ちなみに、②でご説明したのは現在の1万円を5年間(もしくはその他の年数)複利で運用したらいくらになるか?それを「将来価値」(Future Value “FV”)と言います。
このFVは不動産投資における非常に重要な考え方である「割引現在価値」(Present Valueと英語では言います。“PV”)を求める際の反対の考え方なのでご紹介しました。PVの概念は収益還元法の基本原理です。
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by 向井啓和
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