2010 年 10 月 26 日 火曜日
海外に不動産を100億以上お持ちの富裕層の方とミーティングしてきましたが、関心ごとは日本の税制の変化でした。現在、シンガポール等のタックスヘブンの銀行等がかなり積極的にマーケティングしている様で日本から富裕層がどんどん移住して行っているとの事です。
日本の税制は会社を含めて金持ちに厳しく、日本の社会も成功者に厳しいと言う事も原因の様です。
もし、現政権が所得税の増税をした場合に富裕層は更に加速度的に海外に資産を移し、海外に移した資産を他の海外に移し、日本には戻って来ないと言う現象が起こりそうです。特に現地法人を設立した場合に全く手が出せないというのが現状でしょう。
所得税増税、相続税増税等で富裕層をいじめ過ぎると取り返しのつかない事になると考えるのは私だけでしょうか…海外との差が開き過ぎるとさすがに見限られてしまう可能性が大です。
by 向井啓和
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2010 年 7 月 9 日 金曜日
日本の法人税率の高さと繰越欠損金の損金計上時期の短さが日本経済にとって問題であるとしたセミナーがACCJ(アメリカ商工会議所)でありました。
(ゲーリーさんがプレゼンしました。(ピーターソン国際経済研究所)Gary Clyde Hufbauer – Peterson Institute for International Economics, Reginald Jones Senior Fellow)
日本の法人税率が世界的に見て高いという事は他でも指摘されてましたが、彼も外国からの投融資(FDI Foreign Direct Investment)や日本の経済成長へ高税率は悪影響があると指摘しました。また、税率を下げたからと言って必ずしも税額が減少するという議論もミスリーディングであると相関関係等を提示して説明されました。
特に日本の現実的なチョイスとしては法人税率を徐々に引き下げ、同時に繰越欠損金の損金計上時期をアメリカ並みに延ばせばよいのでは無いかとの事です。。
日本は繰越欠損金を7年まで持ちこめますが、アメリカは20年まで持ち越せてベンチャービジネスのスタートアップ等には有利な環境であるという指摘でした。
日本の外国からのFDIは他国と比較して極端に低く、外国資本が日本を素通りしているのが明らかです。この現状を改善する事が急務です。会議のレジュメは後で日本語訳してアップします。
by 向井啓和
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2010 年 6 月 23 日 水曜日
税法の授業で「100年後にもしかしたら無くなる税」というトピックスで法人税が取り上げられました。その話を友人にしたら、そんな馬鹿な事は無いと強硬に反発を受けました。
ところが実際には国際的に法人税は自国経済の活性化の為に引き下げ競争が起こっています。イギリスでも法人税が下がるようです。
一方、消費税は最も捕捉し易いという事もありイギリスでも20%まで税率がアップする様です。これは国際的な潮流なので暫く止められないのではないかと思います。
ふと、思いついた事ですが高い法人税回避の動きはもしかしたら船に課される税(固定資産税)の流れと似た動きになる様な気がします。現在外国貿易に利用される外国船が殆どパナマ等の税率の低い国の籍となっており、日本の船会社は日本籍の船を殆ど所有していません。(便宜置籍船)
便宜置籍船
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BE%BF%E5%AE%9C%E7%BD%AE%E7%B1%8D%E8%88%B9
法人税がこれと似た運命にあると思われるのは世界での激烈な競争にさらされる企業は、今後税負担の低い国で法人を設立せざるを得ない状況になってくるかと思われるからです。(海運業界がそうだったように…)
by 向井啓和
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2010 年 6 月 5 日 土曜日
固定資産税の審査の申出期間が順次終了して来ます。固定資産税の評価額(価格)が不当に高いという不服がある場合にはその根拠を示して申出る事が出来ますがそれには期間があります。
この「審査の申出」は「当該年度」の固定資産についてのみ申出が出来る事となっており、それが終了するのが納税通知書を受け取ってから60日以内となっております。
例えば神奈川県横浜市等の場合は4月初旬に納税通知書を発送しているので審査申出期間はほぼ終了になっております。一方東京都等は最近納税通知書を受取ってますので、もうしばらく時間的な余裕があります。
審査の申出はやみくもに申出しても却下されるだけなので準備が必要です。
特に最近多いのは事業用資産で家屋(建物)の「用途」や「種類」や「構造」の間違いが原因のケースが多いと思います。
また、最近これとは若干異なる経緯で固定資産税の救済がされた画期的なケースがあります。地方税法上の規定とは異なる国家賠償法の規定を利用して最高裁で納税者が勝訴した案件です。
恐らく市役所職員の明白なポカがあった為でしょうから、全ての案件に対して該当するとは思えません。
(詳細はこちら→http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=80271&hanreiKbn=01)
(概略はこちら→http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819695E2E1E2E38B8DE2E1E2E4E0E2E3E29180EAE2E2E2)
ただ、国民が国や地方公共団体のミスが原因で起こった損害から救済されるという道を作ったという意味では相当画期的な判決に思えます。税金だけに留まらないと思われます。
by 向井啓和
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2010 年 6 月 4 日 金曜日
ビジネススクールで不動産投資と税金の事を主に勉強しておりますが、不動産投資で下手な節税をすると酷い目にあうというのが良く分かります。(相続税脱税の記事はこちらです。→http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100603-00000031-maip-soci)
一般に税理士と言えば資格試験に合格しその道のプロと言える訳ですが、ただ、実際は試験に受かったばかりの一人の税理士は「ただ試験に受かっただけの人」と考えた方が良いでしょう。
自分の目的が不動産投資と節税であるならば資産税関連に強い事務所でなければなりませんが、不動産投資にも所得税や法人税も関係しますので一人でその全てをしっかりとカバーするのは相当厳しいと思います。
不動産投資と節税と言っても本当の意味で適切なアドバイスを出来る事務所は数名のスペシャリストがいて、それを統括するキャリアの長いプロがいる先でないと顧客のニーズに答えられないと思います。
不動産投資に関連しうる税法としては「所得税」「法人税」「消費税」「不動産取得税等」「相続税贈与税」「租税特別措置法」「地方税(固定資産税等)」「海外の税法」等が関連し、また、過去に問題となった事案の判例を調べると何が問題で否認されて何がポイントで勝訴したか等の精査が必要となります。
税法の体系が複雑なのは、法律、政令、規則、附則、取扱通知(通達)があり法律だけ見ていたのでは実務で重視されている通達等が見過ごされます。一般的には税理士試験では法律が中心であり、実際の判例まで取り扱う事は殆どありません。
つまり、試験に受かっても実践に関する事は相当抜け落ちているのです。まるで大学卒業しても英語を話せないのと同じです。
ただ、「そういった税理士を選んだあなたが悪い」、「その言いなりになって申告したあなたが悪い」という事で、主な責任は納税者に来ます。後は税理士を相手取って損害賠償請求をする位ですが大変です・・・・
by 向井啓和
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2010 年 6 月 1 日 火曜日
不動産仲介をしている中で、倒産、民事再生、会社更生案件に多く関わる事になりますが、その際に時々見られるのは不動産の評価が出過ぎる物件を破たん企業が持たれているケースです。
銀行の融資基準では固定資産税の評価価格を参考に積算価格を出しており、固定資産税評価の高い物件の銀行融資は通り易いので「物件の評価」が出る物件は一見すると良い物件に思えます。
ところが、実際は逆のケースが多いのです。何というパラドックスでしょう。
銀行が融資をする積算価格の出る物件は「固定資産税評価額が高い≒固定資産税が高い」物件だからです。
その為、売買時には固定資産税評価額を基準として決まる、「登録免許税、不動産取得税、都市計画税」も全て高くなります。評価の高い物件≒収益性の低い物件というケースが多々あります。
最も大きな開きのあったケースでは北海道の物件で、固定資産評価額が30億オーバーに対して、実際の売買価格が5億前後の物です。収益物件としての魅力が乏しいから(実力相応)収益価格が5億前後となりました。
ただ、まだ問題なのは、売買コストがべらぼうに高くなってしまう事です。電卓で概算をはじくとトータルで2億を超える税金が掛って来ます。(税コストが何と40%です。)
その為、本来であれば地方の活性化の為になるこの物件を買う人は現れません。また、破たん企業が所有し続けていれば地方税も入って来ません。
by 向井啓和
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2010 年 5 月 20 日 木曜日
税法を勉強していると「所得の区分」の違いを利用する事によって税効果を上げる事が出来るという事が分かります。そんな中で投資用不動産を大量にお持ちの方の場合には、信託受益権物件を実は信託受益権のままで持っている方がメリットがあります。
信託受益権もみなし有価証券ですので利子配当所得という区分になり、収入の20%が源泉徴収されそれで納税が完了します。
一方信託受益権を不動産に登記し直して所有している場合には不動産所得となり総合課税され、富裕層であれば最高税率の40%を収めることになります。
ここで20%の税率の差が生まれます。
その為富裕層の方の場合には実は信託受益権そのままで持っていた方がはるかにメリットがあるのが実情です。(もちろんその逆に減価償却が取れないデメリットはありますが…それでも多くの場合は税率の差の方がインパクトが大きいはずです。)
ただ、ここで問題が・・・多くの金融機関は不動産融資はしても、なかなか証券担保融資(質権設定による証書貸しの様な形)には抵抗があるのが実情です。
よって、銀行利用の場合には不動産に転換しなければならないというのが一般的な流れです。(例外的に出来る場合もあります。)
by 向井啓和
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2010 年 5 月 17 日 月曜日
先日明治大学のビジネススクールで不動産鑑定士の奥田かつ枝先生からの「不動産鑑定の鑑定業界に価格等調査ガイドライン」という題目でセミナーがありました。
http://www.ogata-office.co.jp/e_staff_okuda01.html
実務で幅広く活躍されており、大学や大学院でも教鞭をとっておられるとの事で業界の一般的な傾向が分かりました。
不動産鑑定士に鑑定を依頼する場合、裁判所や税務署等公的な先に提出する為か不動産の証券化をする場合に鑑定士の鑑定書が必要になりますが、一般的な不動産売買や不動産投資ではあまりなじみがありません。
それなりに責任を負う事になりますので鑑定書を書くというのにはそれなりの費用をもらわないとやれないという事です。
今後IFRS等が導入されて上場企業が保有している不動産等の土地の時価評価をする事になってくるでしょうが、国土交通省等の指針では継続して発表する場合にはDCFのみ等の簡略化した評価でも良いという事です。
簡略化した評価の場合には建物の内覧等を省く事も可能との事です。
不動産仲介の世界も同じですが、報酬に関しては作業や調査というのは目に見えないものなので難しいところです。ただ、不動産仲介もそうですが何か問題が起きた際には責任を取らされる可能性があるのがこういったプロの世界です。
責任を安売りする方は責任を取れるんだろうかという心配は常にあるところでしょう。
by 向井啓和
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2010 年 4 月 18 日 日曜日
地方税法に規定されている固定資産税にはある意味で不平等があります。不動産投資にも参考になるので、簡単に指摘します。
それは建物の価値を全国一律に評価している事です。
固定資産税は地方税法を構成する一つの税で主に市町村税でありますが、特に建物の評価額が全国一律である事がある意味不平等を巻き起こしています。
何が不平等かと言いますと、建物が地域に応じた物価の修正がされていない価格によって評価されている事です。
例えば銀座のビルも北海道の旭川のビルも同じ年に建てられたらほぼ同じ評価額になります。ビルを建てるにあたって、狭い日本と言えども都心のど真ん中と交通量の少ない所で建てられるビルのコストが同じであるはずがありません。
例えば、人件費、資材費、道路占有の費用、駐車場の料金、交通量が多ければ交通整備の人員、工期の長短等などです。
全国の最低賃金(参考)
http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-02.htm
(銀座のビルを持てる人の方が担税力が高いはずですが、それが考慮されないのです。)
また、取れる家賃も問題です。同じサイズのワンルームの部屋でも東京で7万取れる家賃が北海道では3万円等になってしまいます。
つまり、3万円しか取れない部屋を維持するのに、東京と同じ建物評価を前提に固定資産税を払う事になるのです。特に地方物件の不動産投資をされる際に注意すべきはこの点です。
固定資産税は全国一律に見られるが故にどんなにグロス利回りが高くても、家賃の安過ぎる場所では全く資金が貯まらない現象に陥ります。
ではどうしたら良いのか・・・固定資産税の特に建物価格の部分は県単位でも良いので地域修正を掛けるというのが一つのアイデアです。東京都心5区を100としたら、東京23区(5区以外)を95、東京都下を90、埼玉、神奈川、千葉を80、…青森、沖縄、北海道を50等。
こうすると固定資産税の建物から得られる収入に対する比率上の負担を平等にする事が可能となります。
by 向井啓和
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2010 年 4 月 14 日 水曜日
不動産投資評価と租税法の研究の為に明治大学のグローバルビジネス研究科という所で勉強を始めてほぼ一週間が経過しました。http://www.meiji.ac.jp/mbs/
土曜日に3コマ、平日に2コマしか取っていないのですが、さすがに仕事をしながらはやはりかなりきついですね…
ただ、当面の目的は不動産投資のアカデミックな理論を整理すると言う事と、不動産投資に欠かせない租税法の理解を深めるという事です。
不動産投資と密接に関係するのが税金ですが、不動産投資では主に以下の様な税が関係します。
登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税、印紙税、所得税、法人税(法人の場合)、消費税(課税売上がある場合)、事業税(規模に応じて)、贈与税、相続税、等などです。
一棟や一部屋のみの購入でも様々な税と付き合わなければなりませんが、物件を買い進めると消費税や事業税が関係して来たり、将来を考えれば相続税等も密接に関係して事業承継の問題や資産運用法人のM&Aにもつながります。
不動産投資評価や理論の方は、不動産投資理論の多くがファイナンスの理論と密接に関係して、考え方を借用して発展しているので以前勉強した債券評価や株式分析の考えを自然と応用していましたがそれをゼロベースから勉強し直す感じです。
17,8年前に外資の証券会社の研修で最初の頃に習ったボンドマス(債券数学)のキャッシュフローの現在価値(プレゼントバリュー)への割戻等…今の所、不動産投資関係の授業はおさらいと言った感じです。
by 向井啓和
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