手付解除を封じた契約書にご注意を（不動産投資や売買の失敗事例） « 不動産投資ブログ　by みなとアセットマネジメント社長向井啓和

手付解除を封じた契約書にご注意を（不動産投資や売買の失敗事例）

2013 年 5 月 14 日火曜日

先日相談を受けた個人の方の売主の話の続きですが…（手付金ももらわずに権利書を渡してしまった売主の話）

まだ、終わってません。契約書を取り寄せると契約書などには多数問題点が散りばめられていました。

次の、問題点ですが、買主側業者は売主の「手付解除」を封じる為に「手付自体の交付は行う」ものの、「手付の解除の項目」を削除したようでした。

この事から類推するに、買主側業者は売主に安く売らせる契約をさせて、一方でその契約を解除出来ない状態にする意図があったと思われます。

通常良くある契約書では、まず、「売主、買主の情報」と物件の「契約金に関わる数字や日付」が頭書きに明記されています。

その部分で手付金自体を明記しており、手付解除の項目に日付を入れておりませんでした。また、手付解除の頭書きに×をつけておりました。

手付解除封じを契約書でされているとは素人の売主は全く知らずに契約をしてしまった様です…

しかし、その意図は達せられそうにありません。

条文部分を見てみると「手付解除の条文」がフォーマットで残ったままでした。また、「特約条項」でも手付解除の条文は無効である旨の明記がなされていませんでした。

そこで、弁護士2名に確認したところ手付解除を封じようとした契約書ではありますが、それが不十分なので手付解除が出来るという事でした。

つまり、売主から安く物件を買う契約をして途中で売主が失敗したと思って、高い買主を見つけた場合には手付倍返しをして解除できるという事です。

不幸中の幸いは買主側業者が悪意を持って手付解除封じをしたかったにも拘らず、その試みが中途半端であった事です。肝心の手付解除の条文が残ったままでは「頭隠して尻隠さず」みたいな滑稽な内容となってしまいました。

教訓としては、不動産売買や投資に関わる契約書は実はかなり重要ですので、必ず事前にチェックするという事と、分かっている人に見てもらうという事が必要です。